・膵・消化管、気管支、肺の神経内分泌腫瘍(neuroendocrine neoplasm：NEN)の一部が分泌するセロトニン、ヒスタミンなどの複数のアミン、ペプチドによって引きおこさえる臨床症候群
・皮膚紅潮、下痢、腹痛、ペラグラ､右心不全、気管支喘息など
・下痢を起こす膵原発神経内分泌腫瘍にはガストリノーマ、VIP産生腫瘍、ソマトスタチノーマ
・約70％は消化管由来
・腫瘍径が20mmを超えると高率に遠隔転移を生じる

　皮膚紅潮:　上半身にびまん性に出現し数分で焼失

【疫学】

・2016年から行われている日本神経内分泌腫瘍研究会の悉皆登録研究(6735例)における年間新規発症発生率を以下に示す(*4)

【治療】

・基本は外科手術 ・切除不能例に対しては抗腫瘍薬、過剰なホルモンによる症状緩和にはソマトスタチン誘導体などが用いられる

参考）
1.櫻井晃洋「膵・消化管神経内分泌腫瘍の最前線」日内会誌 110：1502～1508，2021
2.永村徳浩 他「大腸癌に併発した肝臓原発カルチノイド腫瘍の1例」日内会誌 96：1473～1475，2007
3.平石守 他「直腸カルチノイド12症例の検討」日本内科学会雑誌 105 巻 9 号 2016
4.Masui T, et al : Recent epidemiology of patients with gastro-entero-pancreatic neuroendocrine neoplasms（GEP-NEN）in Japan : a population-based study. BMC Cancer 20 : 1104, 2020. doi : 10.1186/s12885―020―07581-y.
5. 猿田享男 監修「1252専門家による私の治療 2021-2022年度版 : カルチノイド症候群　櫻井晃洋」日本医事新報社　2022.